映画好きのドグマ

映画についての素人の戯言

【親友との絶縁】0から成功した2人の歴史が分かる製作会社「マーヴ・スタジオ」

概要

社名 Marv Studios
設立 1997年
創業者 マシュー・ヴォーン、ガイ・リッチー
変遷 ・SKA Films(1997~2003)
・Marv Films(2003~2020)
公式サイト

「Marv Studios」は、1997年に設立されたロンドンの映画・TVドラマ製作会社。

当初は、映画製作の方向性で意気投合した親友2人で設立されたが、様々ないきさつがあり、現在はガイ・リッチーが会社を去り、マシュー・ヴォーンが残る形となっている。

デビュー作となる『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や次作『スナッチ』など、主にクライム・アクション作品の製作で知られている。

また、『キングスマン』シリーズのスタイリッシュな作風は、「スパイ映画の復活」と評され、多くのファンを獲得した。

沿革

SKA Films

1997年、映画プロデューサーのマシュー・ヴォーンと監督のガイ・リッチーが、自分たちの会社を立ち上げ、最初のプロジェクトとして『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を製作。

1999年、次のプロジェクトであるスナッチの配給に関して、ソニー・ピクチャーズと契約を結ぶ。

2000年、リッチーと歌手のマドンナが結婚(2008年に離婚)。その後、マドンナ主演の大型プロジェクト『スウェプト・アウェイ』の製作を発表。ところが、本作は批評的にも商業的にも大失敗に終わり、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、肯定評価5%を記録した。
また、私情を反映した製作態勢にも批判が集まった。

2003年には、第23回ゴールデンラズベリー賞で7部門にノミネートされ、最低作品賞監督賞女優賞スクリーンカップル賞リメイク/続編賞を受賞する結果となった。

2010年には、第30回ゴールデンラズベリー賞2000年代最低作品賞最低女優賞にノミネートされた。

Marv Films

2003年末、ヴォーンとリッチーの関係に終わりが告げられ、「SKA Films」から「Marv Films」に改名。新会社には、ヴォーンだけが残る形となった。

2004年、新体制での初作品であり、ヴォーンの監督デビュー作レイヤー・ケーキが公開。
当初はいつも通り、製作をヴォーンが、監督をリッチーが務める予定だったが、リッチーが去ったことで、ヴォーンが監督も担当することとなった。

2007年、ファンタジー・アドベンチャー映画『スターダスト』では、ヴォーンが2度目となる監督、そして初脚本を担当した。本作は、興行面・批評面どちらにおいても成功を収めた。

2010年、ヴォーンが製作・監督・脚本を務めたキック・アスが公開。本作は、子供による冒涜的な表現や暴力で物議を醸したが、批評家・観客共に好評で、カルト的人気を獲得した。
また、11歳の少女扮するヒットガールが物議を醸した一方で、クロエ・グレース・モレッツがブレークする要因ともなった。

2014年、ヴォーンが製作・監督・脚本を務めたスパイ映画キングスマンが公開。本作は、「スパイ映画の復活」として高く評価された。

2019年、エルトン・ジョンの半生を描いたロケットマンが公開。
第77回ゴールデングローブ賞でミュージカル・コメディ部門の主演男優賞主題歌賞を受賞。第92回アカデミー賞では、歌曲賞を受賞した。

Marv Studios

2018年、ヴォーンは長編映画のリブート作やスピンオフを企画・製作するための子会社「Marv Studios」を設立。

2021年、立ち上げ後初作品となる、キーラ・ナイトレイ主演のコメディ映画『サイレント・ナイト』が公開され、概ね好評を得た。

その20日後には、『キングスマン』の前日譚キングスマン:ファースト・エージェント』が公開され、批評家から賛否両論の評価を受けた。また、1億ドル近くの予算に対して興行収入は1億2,600万ドル程に留まり、苦い結果となった。

現在、ヴォーンが製作・監督を務める、ヘンリー・カヴィル主演のスパイ映画『Argylle』や、『キングスマン』シリーズ3作目の『Kingsman: The Blue Blood、スピンオフとなるTVドラマ『Statesman』が製作中。
ヴォーンは『Argylle』について、「『ダイ・ハード』や『リーサル・ウェポン』といった、1980年代アクション・スリラーへの賛歌である。『キングスマン』とは全く違う」と語った。本作は、3部作からなるフランチャイズシリーズとなる予定。

Marv Music

2021年、「ワーナー・ミュージック・グループ」と共同で、レコードレーベル「Marv Music」を設立。

退社後のガイ・リッチーの経歴

2005年、ジェイソン・ステイサム主演のクライム映画リボルバーが公開。製作は、『レオン』『トランスポーター』のリュック・ベッソンが務めた。本作は、ヴォーンが製作に関わらない最初の作品となった。

2007年、『ダイ・ハード』『マトリックス』のヒットメーカー、ジョエル・シルバー製作による犯罪アクション映画ロックンローラの監督・脚本を担当。
らしさ溢れるスリリングな脚本と映像で、イギリス公開初週の興収1位を記録し、注目の監督へと返り咲いた。

2009年、再度ジョエルと組み、ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウ主演のシャーロック・ホームズを監督。アカデミー賞では作曲賞と美術賞にノミネートされ、興行的にも成功した。

2011年には、続編となるシャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』が公開され、前作の興行収入を上回るヒットとなった。

2015年、コードネーム U.N.C.L.E. の製作・監督・脚本を担当。
実は、本作の監督にはマシュー・ヴォーンが決まりかけていたが、別のスパイ映画『キングスマン』を監督するために断った。
しかも、原作となったTVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』の主演ロバート・ヴォーンは、マシューの母キャシー・シートンと交際していた過去があり、マシューはロバートとの間にできた子供だと思われていた。その後、父子鑑定でそれが事実ではないことが判明したが、この名残で活動上”マシュー・ヴォーン”を名乗っているという背景がある。
本作には、何やら2人の因縁を感じさせるものがあります。

2017年、キング・アーサーで製作・監督・脚本を務めるも、全く興収が振るわず、公開当時はハリウッドで最も赤字を出した映画とされていた。これにより、ワーナー・ブラザースは1億5000万ドルの赤字を計上した。

2019年、ディズニーの同名アニメーション映画のリメイクとなる『アラジン』で監督・脚本を担当。全世界で10億ドル以上の興収を記録し、2019年公開の映画で興行収入9位となり、リッチーのキャリアの中で最も興行収入を上げた映画となった

その後も、『ジェントルメン』『キャッシュトラック』など、彼らしいクライム・アクション作品を製作している。

現在、ジェイソン・ステイサム主演のスパイ映画『オペレーション・フォーチュン』や、ジェイク・ギレンホール主演のアクション・スリラー『The Covenant』が日本公開予定。
また、ヘンリー・カヴィル主演のスパイ・アクション『The Ministry of Ungentlemanly Warfare』や、大成功を収めた『アラジン』の次回作が製作予定。

俳優の取り合い?

2人が離れて活動するようになってからも、それぞれの作品で同じ俳優をよく見かけます。取り合っているのか、と気になったのでまとめてみました。

以下、リッチー作品は赤色、ヴォーン作品は青色、共同作は紫色。

マーク・ストロング

リボルバー『スターダスト』ロックンローラシャーロック・ホームズキック・アスキングスマンキングスマン:ゴールデン・サークル

ジェイソン・フレミング

『ロック、ストック~』スナッチレイヤー・ケーキ『スターダスト』X-MEN:ファースト・ジェネレーション』

ジェイソン・ステイサム

『ロック、ストック~』スナッチリボルバー『キャッシュ・トラック』『Operation Fortune: Ruse de guerre』

ヘンリー・カヴィル

『スターダスト』コードネーム U.N.C.L.E.『Argylle』『The Ministry of Ungentlemanly Warfare』

サイモン・キンバーグ(プロデューサー、脚本家)

シャーロック・ホームズX-MEN:ファースト・ジェネレーション』X-MEN:フューチャー&パスト』ファンタスティック・フォー

こう見てみると、ここまで作風や好きな俳優が似ているのなら、早く和解して、2人で最高に面白い作品を作ってほしいものですw

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