作品情報
グランド・ジャーニー(原題:Donne-moi des ailes)※”翼をください”の意
公開 | 2019年 |
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上映時間 | 113分 |
監督 | ニコラ・ヴァニエ |
脚本 | クリスチャン・ムレク |
出演 | ジャン=ポール・ルーヴ、ルイ・バスケス他 |
評価 | 2019年のフランス国内映画興行収入TOP10入り。 日本国内でも様々な環境保全団体の後援が決定。 |
あらすじ
フランスで雁の研究をしている、風変わりな気象学者クリスチャン。彼は超軽量飛行機を使い、絶滅の危機にある渡り鳥に安全なルートを教えるという、誰もが無茶だと呆れるプロジェクトに夢中だ。
そんな父親と大自然の中で過ごす休暇は、ゲーム好きな14歳のトマにとっては悪夢でしかない。Wi‐Fiも繋がらない田舎で暇を持て余したトマは、ある出来事をきっかけに父親の無謀なプロジェクトに協力することに。こうして親子と鳥たちの冒険が始まった—
感想
ロードムービー、景色が好きな私にはドンピシャな作品でした。
どんどん成長していく少年や、各地での人々との関わりは最高です。
今作は実話を基にしていますが、息子はフィクション要素です。そうすることで、より冒険感が強くなってワクワクしました。
CGもほとんど使っておらず、鳥たちと一緒に飛んだような爽快感やロマンがあって、すごく良い気分になります。
泣くという感動よりも、鳥肌が立つような感動がありました。
個人的に印象に残ったシーンは、まるで心が通じ合っているかのように雁がトマについて行くシーンです。
雑記
衝撃の実話
今作で脚本や飛行・雁担当を務めた、気象学者であり鳥類愛好家のクリスチャン・ムレク。この作品は彼が行った、あるプロジェクトを基に製作された。
それは、絶滅の危機に瀕する渡り鳥に安全なルートを教えるというもの。作中ではノルウェーからフランスまでのルートだが、実際はスウェーデンからドイツ。2000年に成功して以来、彼は渡り鳥の保護・繁殖、飛来ルートの指導に人生を捧げ、現在は野鳥と空を飛ぶツアーも主催。フランスでは「バードマン」の愛称で親しまれている。
彼は他にも、BBCのドキュメンタリーシリーズ『アースフライト 大空の冒険者たち』や、映画『WATARIDORI』にも携わっている。
ほぼCGなし
主人公の少年トマが鴈と共に飛行する場面は、CGなしで撮影された。手が届きそうな距離でトマと鴈が空を飛ぶ様子は、「空を飛んでみたい」という誰もが一度は憧れる夢を疑似体験できる。また、まるで本当に空を飛んでいるかのような浮遊感を感じさせてくれる。
唯一、合成をしたのは嵐のシーン。それでも鳥の飛行には手を入れていない。
あくまでも鳥はデジタルではなく、リアルにこだわった。
冒険家でもある監督
監督を務めたのは自身も冒険家で、世界的ベストセラー『アルプスの村の犬と少年』を実写化した『ベル&セバスチャン』で高く評価されたニコラ・ヴァニエ。
実在する環境問題
ヨーロッパでは地球温暖化によって、この30年で総数の3分の1に値する4億羽以上の野鳥が姿を消したとされ、世界的に環境保護が叫ばれているそう。