【きょうだいは最低で最高？】きょうだいならではの微妙な関係性『犬猿』

『犬猿』

印刷会社で営業をしている真面目な弟・金山和成のところに、強盗で服役していた乱暴者の兄・卓司が刑期を終えて転がり込んでくる。

一方、家業の印刷工場を切り盛りする太っていて見た目がよくない姉・幾野由利亜と、頭は悪いがその容姿と人当りの良さで芸能活動もしている妹の真子。

複雑な感情を抱く2組のきょうだいの出会いを境に、それぞれの関係が歪み始める—

『ヒメアノ～ル』『空白』がかなり好みだったので鑑賞しました。
映画ならではの行き過ぎた展開と、リアルさのバランスが絶妙。

普段は嫌いでも、他人から悪口を言われると何故か腹が立つ。
”嫌っていいのは自分だけ”みたいな。

メインキャスト全員がハマり役で、男女の対比も面白かったです。

あらすじだけ見ると暗い内容に感じ、鑑賞をためらう人もいるかもしれませんが、なぜかスッキリとした気持ちで観終えることが出来る作品です。

本作のキャスティングは、監督的に「女子2人が飛び道具で、それを引っ張ってくれる男子2人」というバランスを期待した。

実際、窪田正孝と新井浩文による”兄弟”げんかはヒリヒリする緊張感が漂っていて、江上敬子と筧美和子の“姉妹”げんかはどこか笑えるような印象になっていました。

姉の由利亜はニッチェの江上敬子を当て書きしたキャラクターで、吉田監督は「若い頃の藤山直美さんをイメージしたキャラだったので、最初から江上さんありきで脚本を書いていた」と説明した。

実際に、ニッチェの江上は「脚本を読んだら死ぬほど共感する部分があった」と語った。

映画好きのドグマ