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【既成概念を超越】機械を愛するクィアの殺人鬼『TITANE/チタン』

作品情報

『TITANE/チタン』(原題:Titane)

公開 2021年
上映時間 108分
監督、脚本 ジュリア・デュクルノー
出演 ヴァンサン・ランドン、アガト・ルセル、ギャランス・マリリエ他
配給 NEON
評価 第74回カンヌ国際映画祭で、パルム・ドールを受賞。
ジェーン・カンピオンに続いて、女性として2人目のパルム・ドール受賞監督に。
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あらすじ

幼い頃の交通事故により、頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれたアレクシア。
それ以来、<車>に対し異常な執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになる。

遂に自らの犯した罪により行き場を失った彼女は、10年前に行方不明となった消防士ヴィンセントの息子になりすまし、共同生活を始める。

しかし、彼女は自らの体に重大な秘密を抱えていた—

感想

この作品の中では、性別・血縁などの既成概念なんて全く意味ありません。人間かどうかすら関係ないのかもしれません。
ストーリー自体は難しくないですが、頭がこんがらがりそうになります。

とにかく色々ぶっ飛んでいて、「凄いものを見た!」という気になりますが、手放しに面白いとは言いにくいです。こういった部分も、本作の特徴の一つだと思います。
”泣いた”という感想も目にしましたが、私はさすがにそこまでにはなりませんでした。

特段グロテスクな訳ではありませんが、ボディホラー特有のリアルな痛々しいシーンがいくつかあります。
また、流れる音楽も印象的でした。

雑記

主演女優をSNSで発掘

主役を演じたアガト・ルセルは、これまでに演技経験は無く、監督がInstagramで彼女を見かけたことがきっかけで起用された。

監督いわく、「無名ということが最も重要だった。”アレクシア”は中性的なルックスを持ち、流動的なキャラクターとして造形したかったので、アガトを見つけて、アレクシア役は彼女だと確信した。」

素人目ながら、演技経験ゼロとは思えない、引きつけられる演技でした。

『RAW ~少女のめざめ~』との繋がり

本作で”ジュスティーヌ”という女性を演じた、ギャランス・マリリエ。彼女は、監督の前作『RAW ~少女のめざめ~』にも出演しており、ベジタリアンの主人公がカニバリズムに目覚めていく様子を演じた。この主人公の名前も”ジュスティーヌ”。

また、主人公の姉として“アレクシア”という女性も登場するが、本作の主人公の名前も”アレクシア”。

デュクルノー監督は「2つの作品に登場する人物の名前が同じなのは、”同一人物の変種”だと考えているから」という、独自のキャラクター観を持っている。