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【来世は何になる?】独身者は動物に転生させられる近未来『ロブスター』

作品情報

『ロブスター』(原題:The Lobster)

公開 2015年
上映時間 118分
監督、脚本 ヨルゴス・ランティモス
出演 コリン・ファレルレイチェル・ワイズジョン・C・ライリーベン・ウィショージェシカ・バーデン、オリヴィア・コールマン、レア・セドゥ他
配給 A24
評価 第68回カンヌ国際映画祭パルム・ドールにノミネートされ、審査員賞を受賞。

あらすじ

近未来では、”独身者”は身柄を確保されホテルに送られる。そこで45日以内にパートナーを見つけられなければ、自らが選んだ動物に変えられて森に放たれる。

独り身になったデヴィッドもホテルに送られるが、そこで狂気の日常を目の当たりにする。ほどなくして、デヴィッドは“独り者たち”が隠れ住む森へと逃げ出す。そこで彼は恋に落ちるが、それは“独り者たち”のルールに反する行為だった—

感想

ディストピアでありながら、コメディチック。

個人的には、ランティモス作品の中で一番観やすかったです。
設定が分かりやすく、SF要素もあって純粋に楽しめました。それでいて、監督らしい不穏で独特な雰囲気は健在。 

作中では、皆それぞれ些細な共通点を探すことに固執しています。
最後の終わり方が曖昧で、2つの汲み取り方があると思います。

雑記

しょぼくれたおじさんになるための役作り

妻と離婚し独身者となった主人公デヴィッドを演じたコリン・ファレルは、役作りのために40ポンド(約18kg)増量した。

名前のないキャラが多数

本作では様々なキャラクターが登場するが、名前があるのは主人公のデヴィッド(コリン・ファレル)、滑舌が悪いロバート(ジョン・C・ライリー)、足が悪いジョン(ベン・ウィショー)の3人のみ。

この設定によって、作中の異質な世界観がより強く伝わってきます。それだけ、人間関係が希薄になってしまった世界を描いているということなのでしょうか。

結婚には「血」が伴う?

ネタバレを読む

作中では「血」が1つのモチーフとなっていて、結婚には犠牲が伴うということを表している。

よく鼻血を出す女と結婚するために自ら鼻血を出すジョンに始まり、デヴィッドに拒絶されて自殺する女性へとエスカレート、最後にはデヴィッドの弟がソシオパスの女に殺される。

ラストシーンでは、デヴィッドが自分の目にナイフを突き立て、結婚というものに再び犠牲を払うのかどうか、明かされないまま幕が下りる。

あのMCU女優にもオファーが

本作で独身者のリーダー役はレア・セドゥが演じているが、当初はMCU映画のスカーレット・ウィッチ役で知られるエリザベス・オルセンにオファーをしていた。

オルセンは、MCU映画の撮影のため本作のオファーを断った。