作品情報
『お嬢さん』(原題:아가씨)
公開 | 2016年 |
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上映時間 | 145分 |
監督、脚本 | パク・チャヌク |
原作 | サラ・ウォーターズ『荊の城』 |
出演 | キム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン他 |
評価 | 第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネート。 第43回サターン賞でインターナショナル映画賞を受賞。 第71回英国アカデミー賞で非英語映画賞を受賞。 |
あらすじ
1939年日本統治下の朝鮮。詐欺グループに育てられた孤児の少女スッキ(キム・テリ)は、”伯爵”と名乗る詐欺師(ハ・ジョンウ)にある計画を聞かされる。
それは、日本人と結婚し莫大な財産を手に入れた男(チョ・ジヌン)の姪・秀子(キム・ミニ)と結婚した後、精神病院に送ることで、財産を奪うというものだった。スッキは女中として働き、その手助けを頼まれる。伯爵が順調に計画を進めていく一方で、次第にスッキはヒデコに心を開いていき—
感想
構成は黒澤明監督の『羅生門』にかなり似ています。というか、ほぼ同じです。
三部構成になっているので観やすく、映像も綺麗で飽きませんでした。
特に、和洋折衷の邸宅が印象的でした。
序盤はコメディ調で進んでいき、事の裏側が紐解かれていくにつれてあっという間でした。中盤以降はかなり陰気な雰囲気になってきますが、観終わった後はある種良い気分になれました。
驚いたのが、韓国人の日本語の上手さです。訛っているとはいえ、英語圏の人とは段違いでした。
また、かなり生々しい濡れ場や、女性に対する酷い扱いをする描写があるので、苦手な方は注意が必要かもしれません。
官能文学を朗読するシーンは、かなり異様な光景でした。
雑記
羅生門効果(Rashomon Effect)
本作は三部構成になっており、同じ出来事についてそれぞれ3人の視点から描かれる。このような、1つの出来事においてそれぞれの主張が矛盾する現象のことを「羅生門効果(Rashomon Effect)」と言う。この言葉は、黒澤明監督の映画『羅生門』に由来するもので、演出技法の用語として海外でも使われている。
下の記事で詳しく書いてます。
死ぬまでに観たい1001本の映画
本作は、スティーブン・シュナイダーの『死ぬまでに観たい1001本の映画』という書籍に掲載されている。彼は、ハーバード大学とロンドン大学で哲学の修士号を、ニューヨーク大学で映画研究の修士号を取得した元映画評論家兼学者で、現在はプロデューサーをしている。彼はハリウッドで急速に地位を上げ、ジャンル映画のエキスパートの1人となった。
彼は、世界の映画とホラーに関する数々の書籍の執筆・編集を行った後、プロデューサーとしてのキャリアを積むためロサンゼルスに移った。
2009年公開『パラノーマル・アクティビティ』の記録的な成功に続き、ジェームズ・ワン監督の『インシディアス』、バリー・レヴィンソン監督の『ザ・ベイ』、スティーブン・スピルバーグ製作のドラマ『ザ・リバー -呪いの川-』など、一流の映画監督を起用した印象的な映画やドラマシリーズを次々と製作した。