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【監督のSF作品に間違いなし】人生は既に決まっているのか?『DEVS/デヴス』

作品情報

『DEVS/デヴス』(原題:Devs)

公開 2020年
エピソード数 50分×8話
監督、脚本 アレックス・ガーランド
出演 ソノヤ・ミズノ、ニック・オファーマン、ザック・グルニエケイリー・スピーニー
音楽 ベン・ソールズベリー他
評価 第72回プライムタイム・エミー賞撮影賞視覚効果賞など4部門にノミネート。

あらすじ

シリコンバレーのIT企業「アマヤ」でエンジニアとして働くリリーは、恋人セルゲイの不審な死に会社が関わっていると確信する。

独自に調査を開始してまもなく、黒幕はCEOのフォレストと極秘開発部門”Devs”であることを突き止める。
さらに真実を追究していく中、”Devs”の恐るべき陰謀が明らかになる—

感想

多世界解釈決定論、自由意志、因果律などSF要素満載の本作。クリストファー・ノーラン監督の『テネット』と似たような要素がたくさんありました。
難しい話題がバンバン出てきますが、あくまでSFの設定と割り切って観れば、そこまで気にはならないと思います。『テネット』を観た後に、物理学の解説動画を見漁っていたことも功を奏しました。

アレックス・ガーランドの作品は内容も然ることながら、ビジュアルデザインや音楽にも引き込まれます。これだけでも、一見の価値はあるかと思います。

ただ、話が進むのがかなり遅いので、監督か、あるいはこういったジャンルが好きな人以外は、飽きてしまう人が多いかもしれません。

個人的に、5話の交通事故の描写がかなり切なくて印象的でした。

雑記

世界で認められたSF監督

本作の監督・脚本を担当したアレックス・ガーランドは、イギリスの映画監督、小説家。彼が関わった作品は、これまで数多くの賞を受賞している。

1990年代後半に執筆した小説『ザ・ビーチ』で有名になり、2000年にダニー・ボイル監督で映画化までされた。『タイタニック』で大ブレイクしたディカプリオが、次に何に出演するか、100本以上のオファーを蹴ってまで出演を決めた作品。

2002年の『28日後…』で、再びダニー・ボイル監督とタッグを組み脚本を担当。第30回サターン賞で最優秀ホラー賞を受賞しました。

2010年に脚本を担当した『わたしを離さないで』は、第37回サターン賞で脚本賞にノミネート。(受賞は『インセプション』のクリストファー・ノーラン

2015年には、初めて監督・脚本を担当した『エクス・マキナ』が、第88回アカデミー賞脚本賞にノミネートされ、視覚効果賞を受賞した。

日系イギリス人の女優

本作の主人公リリーを演じたのは、日系イギリス人のソノヤ・ミズノ。彼女は、東京都で日本人の父とイギリス/アルゼンチン系の母の下に生まれ、イギリスのサマセットで育った。

日本とイギリスの良いとこ取りのような、はっきりとした顔立ちが印象的でした。

彼女が映画に初出演したのが、アカデミー賞を受賞した『エクス・マキナ』。その後、アレックス・ガーランド作品全てに出演している。
また、『ラ・ラ・ランド』でエマ・ストーンの同居人役を演じた。

デウス・エクス・マキナ

演劇界には古くからデウス・エクス・マキナという演出技法がある。これは「機械仕掛けの神」という意味のラテン語で、演劇の内容が解決困難に陥った終盤、神のような都合の良い存在が急に現れて、混乱した状況を解決に導き、強引に物語を終わらせる手法のことを言う。

”夢オチ”なんかは、これの典型だと思います。

本作『デヴス』と監督の出世作エクス・マキナ』を組み合わせると…。
監督からすると、本作の結末は”デウス・エクス・マキナ”だったのでしょうか。