作品情報
『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』(原題:The Killing of Kenneth Chamberlain)
公開 | 2019年 |
---|---|
上映時間 | 83分 |
製作総指揮 | モーガン・フリーマン他 |
監督、脚本 | デイビッド・ミデル |
出演 | フランキー・フェイソン、エンリコ・ナターレ、スティーブ・オコンネル、ベン・マルテン、アニカ・ノニ・ローズ他 |
評価 | 第31回ゴッサム・インディペンデント映画賞で主演賞(フランキー・フェイソン)を受賞。 第37回インディペンデント・スピリット賞で主演男優賞、編集賞にノミネート。 映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、支持率97%を記録。 |
あらすじ
2011年11月19日、早朝のニューヨーク。
双極性障害(躁うつ病)を患うケネス・チェンバレンは、就寝中に医療用通報装置を誤作動させてしまう。安否確認にやって来た3人の警官にケネスは、通報は間違いだと伝えるが全く信じてもらえない。
初めは穏便に対応していた警官たちだが、ドアを開けるのを拒むケネスに不信感を募らせ、次第に高圧的な態度をとるようになる—
感想
画は変わらないのに、一瞬たりとも目が離せない。
医療センターの担当者や家族との通話記録、警官に取り付けられたカメラなどの証拠から、かなり忠実に再現されています。
本編の時間経過も、事件とほぼ同じになっています。
遺族には酷だとさえ感じるような、事件をそのまま追体験するような内容です。
画面がかなり揺れていて、ドキュメンタリーを撮っているような仕上がりなので、より緊迫感やリアルさが伝わってきました。
普段から感じる黒人への抑圧によって、素直にドアを開けられないもどかしさ…
雑記
誰一人お咎めなし
2012年、大陪審は事件を再検討し、殺人に関与した警察官を刑事告訴しないとの決定を下した。
検事は、ケネスを射殺したアンソニー・カレリとその同僚は「適切に行動した」こと、およびカレリを殺人罪で起訴する「合理的な理由がなかった」という理由で、彼らを不起訴とした。
また、チェンバレンを「ニガー」と呼んだスティーブン・ハート巡査に対する懲戒処分も行わなかった。
この報告を見るに、本編とは少し違います。
作中では、これらの残酷な言動はジャクソンという若い警官に集約されていました。
ケネスは危険人物だったのか?
ケネスの死後に行われた検視の結果、1発の銃弾が横方向に撃たれ、右腕を貫通、さらに両肺を貫通したことが判明した。もう一発は外れたと見られる。
また、首と腹部にはテーザー銃による火傷があったことも判明した。
彼の血液には0.11のアルコール含有量(ほろ酔い程度)と、筋弛緩剤のシクロベンザプリンが含まれていたものの、危険薬物は検出されなかった。
ケネスの息子は、「解剖結果が出て、父の両手が脇にあったことが証明されて嬉しい。父が加害者ではなく、過剰な力の行使は必要なかったことは間違いなく示された。」と語った。