作品情報
『ヒューゴの不思議な発明』(原題:Hugo)
公開 | 2011年 |
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上映時間 | 126分 |
監督 | マーティン・スコセッシ |
原作 | ブライアン・ セルズニック『ユゴーの不思議な発明』 |
出演 | エイサ・バターフィールド、クロエ・グレース・モレッツ、ベン・キングズレー、サシャ・バロン・コーエン、エミリー・モーティマー、ヘレン・マックロリー、レイ・ウィンストン、クリストファー・リー、ジュード・ロウ他 |
音楽 | ハワード・ショア |
評価 | 第16回サテライト賞で5部門にノミネート、視覚効果賞を受賞。 第17回クリティクス・チョイス・アワードで11部門にノミネート、美術デザイン賞を受賞。 第69回ゴールデングローブ賞で監督賞を受賞。 第65回英国アカデミー賞で10部門にノミネート、美術賞と音響賞を受賞。 また、監督のマーティン・スコセッシがフェローシップ賞を受賞。 第84回アカデミー賞で最多となる11部門にノミネート、撮影賞を含む5部門を受賞。 |
あらすじ
1931年のパリ。モンパルナス駅の時計台に隠れて暮らすヒューゴは、父の遺した壊れた機械人形を修復するにつれ、それに秘められた謎に近づいていく—
感想
スコセッシ史上最も優しく、家族で観れる作品。
観終わってみると、コアな映画ネタを扱いながら、映画製作への情熱や、古典映画の功績や保存の大切さに焦点を当てた、映画賛歌のような作品でした。
逆に、ファンタジー作品を求めてる人にはオススメできません。
逆に、『月世界旅行』や『大列車強盗』など古典映画を全く知らないと、ありきたりなストーリーに感じるかもしれません。
ジョルジュのスピーチが終わった後の、映画への入り方がめちゃくちゃ良かったです。
雑記
監督との共通点
作中において、映画の保存と修復に対する情熱について言及されている。
実際マーティン・スコセッシは、古典映画の保存や修復、展示を行う非営利団体「The Film Foundation」の創設者であり、会長を務めている。
創設メンバーの中には、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、クリント・イーストウッド、スタンリー・キューブリックなど錚々たる映画監督らが名を連ねている。
またスコセッシ監督作で、レオナルド・ディカプリオ以外が主演を務めるのは、ニコラス・ケイジ主演の『救命士』以来12年ぶり。
現実との共通点
本作で描かれるジョルジュ・メリエスついての話は、ほぼ実話。
彼は元々マジシャンという経歴を持っており、その後映画を撮るようになり、監督・脚本・演出・編集・出演までを全て1人でこなしていた。演出や編集には、マジシャンとして培った技術や経験が活かされている。
映画の創成期において様々な技術を開発した人物であり、世界初の職業・映画監督の一人と言われている。
最も有名な作品に、世界初のSF作品『月世界旅行』などがある。
メリエスがリュミエール兄弟による世界初の映画『ラ・シオタ駅への列車の到着』を観るシーンも事実。
さらに言うと、メリエスが観たのは初上映時。つまり彼は、世界で初めて映画を視聴した観客の一人となった。
メリエスがモンパルナス駅で売店をしていたのもほぼ事実。
第一次世界大戦によって映画への関心が薄れていったことや、財政難などの理由で、メリエスは莫大な負債を抱え破産。
その後、モンパルナス駅周辺で飴やおもちゃを売り、他の映画製作者らが集めた基金による援助で食いつないでいた。
1920年代末ごろ、何人かのジャーナリストがメリエスの業績を調べ始め、映画界で再評価されるようになった。1929年12月には、サル・プレイエルというコンサートホールでメリエスの回顧展が開催された。
この出来事も、作中で起こったことと酷似している。
ヒューゴが夢で見た列車の脱線事故は、1895年に起きたモンパルナス駅脱線事故のことであり、列車が駅の2階を突き破る描写もまた、実際の事故と酷似している。
原作者の父親
原作者であるブライアン・セルズニックは、『キング・コング』や『風と共に去りぬ』のプロデューサーとして知られるデヴィッド・O・セルズニックの息子。
ちなみに、スコセッシの娘フランチェスカから誕生日プレゼントにセルズニックの原作本をもらったことが、本作を撮るきっかけになったそう。
また、映画を3Dで上映するというのも彼女の提案。