映画好きのドグマ

映画についての素人の戯言

【言葉通りの超大作】世界に散らばる他人と感覚を共有『センス8』

作品情報

『センス8』(原題:Sense8)

公開 2015年
シーズン数 2
エピソード数 55分×12話
製作総指揮 ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキーJ・マイケル・ストラジンスキー
出演 ブライアン・J・スミス、タペンス・ミドルトン、ペ・ドゥナ、ジェイミー・クレイトン、マックス・リーメルト、ティナ・デサイ、ミゲル・アンヘル・シルベストレ、アムル・アミーン、トビー・オンウメール、フリーマ・アジェマン、ダリル・ハンナ、ナヴィーン・アンドリュース、テレンス・マン、アルフォンソ・ヘレラ、マックス・マウフ、エレンディラ・イバラ他
配給 Netflix
評価 第68回プライムタイム・クリエイティブ・アート・エミー賞オリジナル・メイン・タイトル・テーマ音楽部門にノミネート。
第69回プライムタイム・クリエイティブ・アート・エミー賞撮影賞(シングルカメラ・シリーズ部門)にノミネート。

あらすじ

謎の女性アンジェリカが、"ウィスパーズ"と呼ばれる男に追い詰められ自殺する。
その直前、世界各地に散らばる8人の男女に、精神的な繋がりを「産んだ」ことから物語が動き出す。

感情や感覚の繋がりを持った8人は、戸惑いながらも互いに出会い、自分たちが知識や言語、技術を共有できる「感応者」のクラスター(群体)となったことを知る。

不思議な力に戸惑う8人の感応者たちは、やがて「BPO」という巨大組織から追われることになり—

感想

<S1>

“Sense8”は、“Sensate”のもじり。
オープニング映像が最高でした。

過去・家族・犯罪・貧困・ジェンダー・宗教など、抱える問題も違えば、住む場所も違う8人の精神が突然繋がり、言語・知識・技術を共有できるように。

こういう作品は、全員集合して協力する時に一番テンションが上がります。
8人揃って『What's Up』を歌うシーンがめちゃくちゃ良かったです。

<S2>

今シーズンでは、感応者が何者なのか分かったり、巨大組織BPOに迫っていったり、他のクラスターの存在も分かったりで、内容が盛りだくさんで見応えありました。

11話の終わり方が最高!

『Whgt's up』が流れるシーンは、相変わらず最高でした。
新石器時代Googleにはテンション上がりました。

<完結編>

ファンの熱い要望によって製作された最終回。
10話とまでは言わないまでも、5話分くらいの長さは欲しかったです。
終わり方が良かっただけに、かなり駆け足で終わるのがもったいなかったです。

カーラの三角関係の着地点が中々攻めてましたw

見どころ

全ての登場人物に魅力あり

8人も主人公がいるのに、個人的に「この人のシーンはつまらない」と感じるキャラがいませんでした。

私が一番好きなキャラは、ヴォルフガングです。

圧倒的な世界観

世界中で撮影されているので、画面映えは当然素晴らしいです。事あるごとに別の地域のシーンに移るので、飽きる暇がありませんでした。

また、性描写やLGBT描写が多めですが、不快な気分にはなりませんでした。むしろ、アートのような神秘的なシーンにさえ見えます。

さらに流れる音楽も、壮大なものからしんみりするようなものまで、各シーンにぴったりハマっていて印象的でした。

雑記

世界的なSF映画監督

本作のプロデューサーは、『マトリックス』シリーズで知られるリリー/ラナ・ウォシャウスキー姉妹

シーズン1の脚本は、ウォシャウスキー姉妹とJ・マイケル・ストラジンスキーが担当。
シーズン2ではリリー(当時はアンディ)が降板し、ラナとストラジンスキーの2人で執筆した。

全シーズン通して、そのほとんどをウォシャウスキー姉妹(シーズン2はラナのみ)が監督した。

シーズン2でリリーが降板したことで、ウォシャウスキー姉妹のキャリアの中で初めて、共同で仕事をしない作品となった。

世界中で撮影、莫大な製作費

シーズン1は、世界8ヵ国9都市(シカゴ、サンフランシスコ、ロンドン、ベルリン、ソウル、メキシコシティ、ムンバイ、ナイロビ、レイキャビク)で撮影された。
シーズン1の撮影だけで、飛行距離は地球4周分に相当する10万マイルに及んだ。

シーズン2は、11ヵ国16都市(シーズン1でのレイキャビク以外のロケ地+ロサンゼルス、アムステルダムサンパウロ、アーガイル、チッペナム、マルタ、ポジターノ、レッドウッド国立公園)で撮影された。
最終的な飛行距離は25万マイル以上となったが、ロケ地選びを行ったディレクターやプロデューサーなどは37万マイル(地球約15周分)にも及んだ。

シーズン1の製作費は1話あたり約450万ドル、シーズン2は約900万ドルに上った。
そりゃ打ち切りになっても仕方がない!

本作は世界各地で撮影が行われたため、エピソードごとではなく、撮影地ごとに監督が割り振られた。
各エピソードは数ヵ国に跨っているため、単独の監督は存在しない。

ファンの要望によって作られた最終回

2017年6月、Netflixはシリーズの打ち切りを発表。
理由として、制作コストに対して視聴者数が見合わなかったことが挙げられた。

ところが、熱心なファンから批判が集まり、多くの人がこのニュースに憤慨した。
また、ファンらによるオンライン署名や、「#RenewSense8」ハッシュタグでのツイートを行うなど、シリーズ継続を訴える運動が起こった。

2017年6月8日、『センス8』の公式SNSアカウントはファンたちの努力を認め、シリーズの更新を再検討したが、結論に変更がなかったことを伝えた。
しかし、尚もファンたちは納得せず、継続を訴え続けた。

2017年6月30日、これらの批判が続いたことを受け、公式SNSアカウントがラナ・ウォシャウスキーによるファンへのメッセージを掲載し、そこで遂に2時間半の最終回を制作する予定であることも発表された。ラナは手紙の中で、これを可能にしたのはファンからの強力な支援のおかげだと感謝を述べた。

2018年6月8日、最終話が公開された。

意見の違いによりキャスト変更

シーズン1でカフィアス役を演じたアムル・アミーンは、シーズン2の脚本の読み合わせ中にラナ・ウォシャウスキーと対立して以来、徐々に関係が悪化し、いくつかのエピソードを撮影したところで突然降板した。原因は、両者の創造性の違いによるもの。

アミーンが去った後、カフィアス役のオーディションが7日間行われ、トビー・オンウメールがキャスティングされた。

シーズン2の第1話では、キャスティング変更についてのメタ発言も。